データ復旧事例
ハードディスクが故障した時の症状と原因|自分でできる確認方法とやってはいけないこと
ハードディスク(HDD)故障とは?症状・原因・やってはいけない対応
ハードディスク(HDD)は、パソコンやNAS、サーバーなどで広く利用されている記録媒体ですが、消耗品であるため長期間の使用により突然故障することがあります。
ハードディスクが故障すると、パソコンが起動しない、データにアクセスできない、異音がするなどの症状が発生し、業務に大きな影響を与えることがあります。
本記事では、データ復旧の現場の視点から、ハードディスクが故障した時の症状、ご自身で安全にできる確認方法、主な原因、やってはいけない対応、故障を防ぐ方法を解説します。
大切なデータが入っている場合は、「直そう」とする操作より、「これ以上悪くしない」ことを優先してください。
この記事の内容
ハードディスク故障のサイン(症状チェック)
次のような症状がある場合は、ハードディスクの故障が始まっている可能性があります。
| 症状 | 考えられる状態 | 緊急度 |
|---|---|---|
| カチカチ・ガリガリ・ピッピッ・ブーンなどの異音がする | 物理障害の可能性が高い | 最優先(すぐに電源を切る) |
| パソコンやエクスプローラーに表示されない・認識しない | 接続・論理障害・物理障害のいずれか | 高 |
| 「フォーマットしてください」「パラメーターが間違っています」と表示される | 論理障害または物理障害 | 高(初期化しない) |
| 通電しない・ランプがつかない・モーターが回る音がしない | 電源・基板・モーターの障害 | 高 |
| ファイルが開けない・コピーが途中で止まる | 読み取りエラー(不良セクタ)の可能性 | 中〜高 |
| 動作が極端に遅い・頻繁にフリーズする | 劣化の初期症状の可能性 | 中 |
| パソコンが起動しない・起動画面で止まる | HDD障害、またはOS側の問題 | 中〜高 |
これらの症状は、論理障害だけでなく物理障害の可能性もあります。
異音がする場合は、この時点で電源を切ってください。通電を続けると、内部の傷が広がり、データの取り出しが難しくなる場合があります。異音の種類ごとの解説はこちらの記事をご覧ください。
自分でできる確認方法(データを傷めない範囲)
ここで紹介するのは、状態を「読み取るだけ」の確認です。修復・初期化・チェックディスクの修復オプションなどは、実行しないでください。
STEP1 接続を確認する(外付けHDDの場合)
■ USBケーブルを別のものに交換する
■ パソコン本体のUSBポートに、直接つなぐ(USBハブは使わない)
■ ACアダプターが付属するタイプは、アダプターの接続を確認する
STEP2 別のパソコンにつないでみる
別のパソコンで認識する場合は、元のパソコン側の問題(ポート・ドライバー・設定)の可能性があります。別のパソコンでも認識しない場合は、HDD側の問題の可能性が高くなります。
STEP3 Windowsの「ディスクの管理」で状態を見る
スタートボタンを右クリックし、「ディスクの管理」を開いて、対象のディスクが一覧にあるかを確認します。
| 表示 | 考えられる状態 |
|---|---|
| ディスクが表示されない | 接続・電源・物理障害の可能性 |
| 「未割り当て」「RAW」と表示される | 論理障害の可能性 |
| 「初期化されていません」と表示される | 管理情報が読めない状態 |
「初期化しますか?」と聞かれても、初期化は実行しないでください。初期化すると、データの取り出しが難しくなる場合があります。
STEP4 音・熱・振動を確認する
■ 異音がする場合は、すぐに電源を切る
■ 本体が極端に熱い場合も、電源を切り、冷めるまで通電しない
STEP5 健康状態(S.M.A.R.T.)を確認する
HDDには、自己診断の機能(S.M.A.R.T.)があります。無料の診断ツール(例:CrystalDiskInfo。公式サイトから入手してください)で、「正常」「注意」「異常」の表示を確認できます。
「注意」「異常」と表示された場合は、故障が近い可能性があります。重要なデータは、すぐにバックアップしてください。ただし、異音がする・動作が不安定な場合は、無理にコピーを続けないでください。コピーの途中で止まると、状態が悪化する場合があります。
ここまでで改善しない場合は
「認識しない」「異音がする」「ツールで異常と表示される」など、改善しない場合は、無理に操作を続けず、専門業者へご相談ください。
ハードディスク故障の主な原因
データ復旧の現場では、以下のような原因による故障が多く見られます。
1.落下・衝撃による故障

ノートパソコンの落下や外付けHDDの転倒など、衝撃による故障は非常に多いケースです。
ハードディスク内部では磁気ヘッドがディスク面のわずかな距離で動作しており、強い衝撃が加わるとヘッドとディスクが接触し、重度の物理障害につながることがあります。
特に以下のような状況は注意が必要です。
■ ノートパソコンを移動中に落とした
■ 外付けHDDが机から落下した
■ 使用中の機器に衝撃を与えた
落下後に認識できなくなった外付けHDDの事例はこちら、落下後に異音が発生した事例はこちらです。
2.水没・水濡れによる故障

水没や水濡れによる故障も多く発生します。
基板部分に水分が侵入すると腐食やショートが発生し、通電不可になるケースがあります。
また、自己判断で乾燥させてから通電すると、内部損傷が拡大する可能性もあります。
水没したHDDは、内部洗浄や特殊処置が必要となるため、専門的な環境での対応が必須です。
3.停電・電源トラブルによる故障

停電後に改めて電源を入れ直してみるとハードディスクが故障しているという場合があります。ディスク面などに損傷が発生していたり、ときにはヘッドがディスクを抑え込んでしまいモーターが回転できない状態になっているときもあります。
データを読書きする磁気ヘッドはハードディスクが起動していないときは安全な場所へと配置されますが、電源供給が突然に途絶えてしまうと退避することができません。
重要なデータの入ったパソコンにはUPSを使用するなど停電対策をおすすめします。
モーターロックの復旧は「重度の物理障害」の対応となります。
停電後に認識しなくなった外付けHDDの事例はこちらです。
4.埃・熱による劣化

パソコンと一部の外付けHDDには排熱のためのファンが搭載されています。筐体内の熱を持った空気を排出するわけですが、その過程で空気とともに埃や塵を中に取り込んでしまいます。パソコンやハードディスクが段々と動きが悪くなってくる不具合原因の一つが埃によって排熱が効率的に行われていない事にあります。
データ復旧の御依頼の中にはハードディスクの基盤が焼け焦げているといった物もあり、パソコン内に相当量の埃が溜まっている状況が非常に多く見られます。
ハードディスクに限らず電子機器にとって熱は大敵です。埃をブロワーなどを使用して除去してあげる事が、意外と簡単で重要なメンテナンスになることを知っておくといいでしょう。
基盤の故障は復旧プランとしては「重度の物理障害」の対応となります。
5.特定モデルの故障(例:Seagate ST2000DM001)

ハードディスクの中には非常に故障を起こしやすいモデルが存在します。Seagate製でモデル名STシリーズです。磁気ヘッドが壊れやすいだとか、それに付随して記録面に傷が付いてしまうだとか色々と言われていますが、とにかく故障率が他の物に比べて高いのは間違いありません。
磁気ヘッドが剥がれ落ちる等の故障が起こった場合、回転するディスク面にヘッドが引きずられる形で傷がついてしまいます。今までの使用で聞いたことのないガリガリギーギーといった異音がした場合できるだけ早急に電源を切り、復旧業者に依頼する事をお勧めします。
異音のするハードディスクの復旧プランは「中度の障害」または「重度の物理障害」での対応になる事が多くなります。
また当社では、通常の重度障害対応にSTシリーズ向けの処置を加えた、「特定機種対象プラン」を設けてご対応をさせて頂いております。
Seagate製ST2000DM001の復旧事例はこちらです。
症状別:次にやること(関連記事)
症状ごとに、まずやることと、関連する記事をまとめました。
| 症状 | まずやること | 関連記事 |
|---|---|---|
| 異音がする | 電源を切る | HDD異音の種類ごとに解説 ピッピッ音でモーターが回らない事例 |
| 認識しない | 接続・別PCで確認 | Seagate製ST2000DM001の事例 外付けHDD(SRD0NF2)の事例 |
| 「パラメーターが間違っています」 | 初期化しない | ELECOM製外付けHDDの事例 |
| 「フォーマットしてください」 | 初期化しない | BUFFALO製外付けHDDの事例 |
| 落下した | 電源を入れない | 落下後に認識できなくなった外付けHDD 落下後に異音が発生した事例 |
| 停電・雷の後 | 電源を入れ直さない | 停電後に認識しなくなった事例 電源を入れても反応しない事例 |
| 水没した | 乾かして通電しない | 水没したノートパソコンの事例 |
| NAS内のHDD | RAIDを変更しない | LinkStation/TeraStation/LANDISK |
ハードディスクが故障したときにやってはいけないこと
ハードディスクに異常が発生した場合、以下の対応は避ける必要があります。
■ 何度も電源を入れ直す
■ 市販の復旧ソフトを繰り返し使用する
■ RAID構成を変更する
■ 初期化を行う
■ 叩く・振る・冷蔵庫や冷凍庫で冷やすなど、自己流の対処をする
■ 自分で分解する(内部は、ほこりの少ない専用の環境が必要です)
■ 異音がするまま使い続ける
■ 水没後に乾かしてから通電する
■ 状態が不安定なHDDに、修復系の操作(チェックディスクの修復など)を行う
これらの行為はデータの上書きや物理損傷の拡大につながる可能性があります。
ハードディスク故障時の復旧について
ハードディスク故障は、症状によって対応方法が異なります。
■ 軽度障害
論理的なエラー(誤削除・ファイルシステム破損など)
■ 中度障害
一部物理障害(不良セクタ・読み取りエラーなど)
■ 重度障害
ヘッド・基板・ディスク損傷などの物理障害
特に異音がする場合や認識しない場合は、重度物理障害の可能性が高くなります。
データが必要な場合は、通電や操作を繰り返す前に専門業者へ相談することが重要です。
故障を防ぐためにできること
■ バックアップを取る
重要なデータは、同じデータを複数の場所に保存します(例:3つのコピー、2種類の媒体、1つは別の場所)。
■ 使用年数を意識する
ハードディスクは消耗品です。使用環境で大きく異なりますが、一般に使用開始から数年が、交換を考える目安とされます。
■ 衝撃・熱・ほこりを避ける
持ち運び中の落下や、通気の悪い場所での使用に気をつけます。
■ 停電対策をする
重要なデータがあるパソコンには、UPS(無停電電源装置)の利用をおすすめします。
■ 安全な取り外しをする
外付けHDDは、取り外しの操作をしてから抜きます。
■ 定期的に健康状態を確認する
S.M.A.R.T.で、「注意」の表示が出ていないかを確認します。
データ復旧が必要なサイン
次のうち1つでも当てはまる場合は、操作を止めて、ご相談ください。
■ 異音がする
■ 認識しない(別のパソコンでも)
■ 通電しない・ランプがつかない
■ 「フォーマットしてください」「初期化されていません」と表示される
■ 落下・水没・停電の後に、症状が出た
■ 「注意」「異常」の表示が出ていて、動作が不安定
データ復旧が必要な場合は、通電や操作を繰り返す前に、専門業者へ相談することが重要です。
よくある質問(FAQ)
ハードディスクの寿命は、何年ですか?
使用環境によって大きく異なり、一概には言えません。一般に、使用開始から数年が交換を考える目安とされます。異音や動作の遅さなどのサインが出たら、年数にかかわらず、早めにバックアップを取ることをおすすめします。
異音がしても、そのまま使えますか?
おすすめしません。異音がする状態で通電を続けると、内部の傷が広がり、データの取り出しが難しくなる場合があります。電源を切り、ご相談ください。
冷蔵庫や冷凍庫で冷やすと、直りますか?
おすすめしません。結露などで、状態を悪化させるおそれがあります。
復旧ソフトを使っても、いいですか?
状態によっては、ソフトの使用で症状が悪化する場合があります。特に、異音がする・認識しない場合は、ソフトの使用より、先にご相談ください。
「フォーマットしてください」と表示されたら、初期化していいですか?
初期化すると、データの取り出しが難しくなる場合があります。表示に従う前に、操作を止めてご相談ください。
ハードディスクを自分で分解して、修理できますか?
おすすめしません。内部は、ほこりの少ない専用の環境で扱う必要があり、自己流の分解は状態を悪化させるおそれがあります。
他の店舗での同じ症状の復旧事例
同じ症状のご相談は、名古屋・神戸・大阪をはじめ各地の診断店・受付店でも対応しています。お近くの地域の事例もあわせてご覧ください。
■ 名古屋:認識しない外付けHDDのデータ復旧
■ 神戸:異音で認識しないWD My Bookの対応事例
■ 大阪:DT02ABA200 重度物理障害の復旧
■ 東京・関東:落下後にカチカチ音がする外付けHDDの復旧
まとめ
ハードディスク故障は、落下・水没・停電・熱・経年劣化など、さまざまな原因で発生します。
初期症状の段階で適切に対応すればデータ復旧できる可能性は高いですが、誤った操作を行うことで復旧難易度が上がることもあります。
データが重要な場合は、無理な操作を行わず専門業者へ相談することをおすすめします。
当社ではハードディスク故障によるデータ復旧にも対応しております。異音がする、認識しない、アクセスできないなどの症状でお困りの場合はお気軽にご相談ください。



