データ復旧事例

神戸市垂水区データ復旧事例｜家族写真と動画が保存されたI-O DATA HDL-T1NVの重度物理障害からデータ復旧に成功

投稿日：2025.11.07 更新日：2025.11.07

メーカー：I-O DATA（アイオー・データ）製
型番：HDL-T1NV　容量：1TB
症状：認識しない
障害：重度物理障害
期間：9日

お問合せ内容：NASが突然認識されなくなり、大切な家族写真が見られなくなった

神戸市垂水区にお住まいの個人ユーザー様より、「NASに保存していた家族の写真と動画が突然見られなくなった」とのご相談をいただきました。お使いの機種は I-O DATA HDL-T1NV（1TB／シングルHDD NAS）で、約10年間、家族旅行の動画やお子さまの成長記録を保存してこられたとのことでした。電源は入るものの共有フォルダが表示されず、NAS本体からは普段聞かない音がしたため不安になり、まず他社へ依頼したところ「物理障害が重く復旧不可」と返却されてしまい、諦めきれず当ラボへ持ち込まれました。お客様からは「すぐにではなくても良いので、できる限りのデータを取り戻したい」と強いご要望をいただき、慎重に診断を開始しました。

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診断結果：磁気ヘッド損傷とプラッタの軽度スクラッチを伴う重度物理障害

NASからHDDを取り出し、データ復旧専用機器に接続して通電テストを行ったところ、HDDは回転を開始しましたが、ヘッドが適切に動作できず固有IDがまったく読み取れない状態でした。モーターの回転は安定しており、基板側の通電電流値も正常範囲で推移していたため、スピンドルモーターや基板起因の障害ではなく、磁気ヘッド自体の損傷が疑われる典型的な挙動でした。この段階では内部開封は行わないため推測に留めていますが、ヘッドが位置決めを繰り返しながら読み取りに失敗し続ける動作が確認され、重度物理障害であると判断しました。
他社で復旧不可とされた理由として、ヘッド損傷に加えスクラッチ傷が存在する可能性が高く、通常の読み取り方法ではシステム領域もデータ領域も取得できない状況であると推定されました。

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復旧作業実施：適合ヘッドへの移植後、負荷制御で慎重にクローン作成

復旧作業は、まず同一モデル・同一世代から適合ヘッドを慎重に選定し、クリーン環境で磁気ヘッドの移植作業を実施しました。プラッタ表面にスクラッチがあると想定されるため、移植後の初期動作ではヘッド圧や位置決めの微調整を丁寧に行い、プラッタへの負荷を極力抑えながら安定動作を確保しました。
その後、データ復旧専用機器に接続し、セクタ単位で負荷を制御したクローン作成を開始しました。スクラッチに近い領域では読み取り不能が連続するため、一度に強い負荷をかけず、読み取れるセクタを細かく分けて取得し、徐々にクローン領域を拡大していく方法で作業を継続しました。この工程には数日間を要しましたが、スクラッチ直下を除いてデータ領域の約9割以上が確保できる目処が立ち、クローンディスクの作成後にファイルシステムの解析へ進むことができました。

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復旧作業の結果：約92％のデータを復旧し、お預かりから9日後に納品

クローンディスクからファイルシステムを解析したところ、写真フォルダ・動画フォルダが問題なく展開され、破損している一部ファイルを除き、多くのデータを正常に取り出すことができました。総容量約780GBのうち、約92％のデータを復旧でき、お客様が特に望まれていた運動会動画や幼少期の写真も再生できる状態で復旧できたことを確認しました。
復旧したデータは全て外付けHDDに確保し、お預かりから9日後に納品いたしました。お客様からは「子どもが小さかった頃の動画をもう一度見られるなんて、本当に感謝しています。他で無理と言われても諦めなくて良かった」と、たいへん喜んでいただきました。

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技術者より：シングルNASはHDD1台の障害で全データを失う可能性が高い

今回のようなシングルHDDのNASは、1台の物理障害がそのままデータ消失につながるため、RAID構成のNASと比べてもリスクが非常に高くなります。特に10年以上使用したHDDは磁気情報が弱まり、ヘッド損傷やスクラッチの発生につながることがあります。異音がしたり、アクセスが遅くなったり、NASが不安定に感じられた時点で、無理に電源を入れ続けず早期に診断を行うことが大切です。家族写真や動画など取り返しのつかないデータは、可能な限り二重化されたバックアップを運用することで、予期せぬ故障から守ることができます。

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まとめ：他社不可の重度障害から大切な家族の思い出を取り戻した復旧事例

本事例は、神戸市垂水区の個人ユーザー様が利用されていた I-O DATA HDL-T1NV（1TB／シングルNAS） において、磁気ヘッド損傷と軽度スクラッチを伴う重度物理障害が発生し、他社で復旧不可と判断されたケースでした。
クリーンブースでのヘッド移植と負荷制御によるクローン作成を組み合わせることで読み取り可能領域を最大化し、総データの約92％を復旧。特に家族の写真や動画といったかけがえのない記録を取り戻すことができ、お預かりから9日後に納品したことにより、お客様の大切な思い出を守ることができた復旧事例です。