データ復旧事例

西脇市データ復旧事例｜停電後、共有フォルダが消えたTeraStation TS5400DN1604データ復旧に成功

投稿日：2025.11.18 更新日：2025.11.18

メーカー：Buffalo（バッファロー）製
型番：TeraStation TS5400DN1604　容量：4TB×4
症状：アクセスできない
障害：RAID崩壊
期間：4日

お問合せ内容：停電後に共有フォルダが開けなくなった

兵庫県西脇市の精密部品製造業の法人様から、「工場のNASにアクセスできなくなり、共有フォルダがまったく開けない」とのお問い合わせをいただきました。機種は Buffalo TeraStation TS5400DN1604（4TB×4／RAID5構成）で、設計図面や検査記録、出荷関連書類など、お客様とのやり取りに欠かせないデータが保存されていました。週末に工場の電源を落としたあと、月曜日の立ち上げ時にNASがエラー表示となり、エクスプローラー上からも共有フォルダが見えなくなったとのことでした。出荷予定の案件も迫っており、「今週中にはどうしてもデータを取り戻したい」との強いご要望から、同日中に神戸三宮ラボへ本体ごとお持ち込みいただきました。

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診断結果：RAID構成情報の破損によるRAID崩壊と判断

お預かり後、NAS本体から4台のHDDを取り出し、データ復旧専用機器に接続して個別に診断を行いました。4台ともスピンアップは安定しており、異音や明らかな読み取り不能は確認されませんでしたが、一部のドライブでは使用時間が長く経年劣化が進んでいる兆候がありました。この時点ではファイルシステム全体の詳細な状況までは確定できませんが、停電時の書き込み中にRAID構成情報が破損し、RAID崩壊が発生している可能性が高いと判断しました。

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復旧作業実施：仮想環境でRAIDの再構築に成功

まず取り出したHDD4本を専用機器に接続。RAID解析を行いRAID5の構成情報を特定する事に成功しました。次に専用機器上で仮想的にRAIDの再構築を実施。仮想RAIDからファイルシステムを展開すると、フォルダ階層やファイル名、タイムスタンプも含めて事務所で使用していた状態が再現されていることを確認できました。そのうえで、出荷予定の案件に関わる図面フォルダや検査記録など、最重要データと位置づけられた領域を優先的に抽出し、先行納品の準備を進めました。

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復旧作業の結果：最重要データを即日先行納品し、その後全データの復旧完了

抽出したデータについて復旧環境で実際にファイルを開いて検証したところ、図面データやPDF資料、Excelの管理表などに破損は見られませんでした。最重要データは約40GB弱で、即日でデータ確保を行い、蔵人経由での先行納品を実施しました。その後も仮想RAID上から残りのデータ約6.5TBの抽出作業を継続し、お預かりから4日程で全データの復旧を完了。外付けHDDにデータを確保し納品いたしました。お客様からは「出荷に間に合う形で図面が戻ってきて本当に助かった」「停電くらいと軽く考えていたが、ここまで影響するとは思わなかった」とのお声をいただきました。

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技術者より：停電後の再起動でおかしいと感じたら稼働を止める勇気を

今回のように停電やブレーカー遮断をきっかけに、RAID構成情報が破損してアクセス不能に陥るケースは少なくありません。特にRAID5構成のNASは、書き込み中に電源が落ちるとメタデータが不整合を起こし、装置側がボリュームの整合性を取れなくなることがあります。一見すると本体の電源を入れ直せば直りそうに感じますが、再起動を繰り返したり、誤った初期化や再構築を行ったりすると、データ領域の上書きにつながる場合があります。停電後の起動で異常なランプ表示やアクセス不良が出た際には、むやみに操作を続けず、電源を落として専門業者に相談することが結果的に早道になることが多いと感じています。

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まとめ：工場データを守るうえでのRAIDと電源管理の重要性

本事例は、西脇市の製造業様が利用していた Buffalo TeraStation TS5400DN1604（4TB×4／RAID5）が、工場停電をきっかけにアクセス不能となったケースでした。診断の結果、HDDには致命的な物理障害は見られず、RAID構成情報の破損による論理的なRAID崩壊と判断。専用機器を使い仮想RAIDを再構築し、最重要データを当日中に先行納品、その後4日で全データを復旧することができました。停電や電源断そのものは避けられない場合もありますが、UPSの導入やシャットダウン手順の整備、異常発生時に無理な再起動を行わないといった運用面の工夫で、同様のトラブルを大きく減らすことが可能です。