データ復旧事例

明石市データ復旧事例｜Synology DS1515+ が突然アクセスできない！製造業の重要設計データを特急対応で復旧に成功

投稿日：2025.10.02 更新日：2025.10.02

メーカー：Synology(シノロジー)製
型番：DiskStation DS1515+　容量：2TB×5台
症状：起動しない
障害：複合障害
期間：4日

お客様からのお問合せ内容：突然アクセスできず設計データが使えない

明石市内の製造業法人様から、「社内のNASに朝から全くアクセスできず、設計図面や工程表が開けない。今日中に必要な案件があり、とにかく急いで診てほしい」と緊急連絡をいただきました。機器は Synology DiskStation DS1515+（2TB×5台）。製造ラインに直結する図面や仕様書、取引先への提出データなどがまとめて保存されており、長時間の停止はそのまま納期遅延につながる状況でした。距離的に近いことから即時の出張をご希望で、神戸三宮ラボからデータ復旧専用機器を持ち込み、現地での特急診断を行うことになりました。

診断結果：RAID構成情報の破損／ファイルシステムの損傷の可能性

現地到着後、NAS本体の挙動を確認したうえでHDDを取り出し、データ復旧専用機器に接続して個別診断を実施しました。分解を要する重度物理障害は認められず、磁気ヘッド動作や回転系にも明確な異常は見られませんでしたが、複数ディスクのメタ情報に不整合があり、RAID5の構成情報が破損していることを特定しました。現時点ではファイルシステムの健全性は断定できないため、復旧工程で仮想RAIDを再構築してから確認が必要であることを丁寧にご説明しました。業務影響の大きさを踏まえ、最重要フォルダは現地で即日抽出、残りはラボで完全復旧という二段階方針をご提案し、NDA（秘密保持契約）を締結のうえ作業に移行しました。

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復旧作業実施：現地で仮想RAID再構築に成功

今回は明確な物理障害がなく緊急性が高いため、現地ではクローン作成よりも業務復旧を最優先し、データ復旧専用機器でRAIDパラメータを解析して仮想RAIDを再構築しました。再構築直後にデータ領域へ安全にアクセスできることを確認し、製造継続に不可欠な設計図面と工程表のフォルダを優先抽出。その場で内容をご確認いただき、当日の業務に間に合う形でお渡ししました。残データについてはHDDを神戸三宮ラボに持ち帰り、経年劣化に配慮して精密なセクタ制御が可能な専用機器でクローン化を順次実施しました。一般的なディプリケーターと異なり、読み取り負荷やリトライ条件を細かく調整できるため、不安定セクタがあってもディスクに負担をかけず高精度でデータを確保でき、結果として全体の完全回収につながりました。

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復旧作業の結果：最重要データを即日復旧、残りも完全復旧で安堵の声

現地対応で最重要データを即日復旧できたことで、「今日の段取りが止まらずに済んだ。ここまで早く戻るとは思わなかった」と大きな安堵の声を頂戴しました。持ち帰り分についてもラボでのクローン化と解析を経て欠損なく復旧でき、外付けHDDにまとめて納品。再来日時の確認で過去案件の図面や関連資料まで問題なく開けることを確認いただきました。結果として、業務停止を最小限に抑えたうえで、必要なデータをすべて回収することができました。

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技術者より

RAIDは「壊れても安心」という誤解を招きがちですが、構成情報が破損すれば一気に全体へアクセスできなくなります。停電や瞬断、老朽化した電源・UPSの不具合がきっかけになることも珍しくありません。今回のように物理障害が顕在化していなくても、長期稼働のHDDは読み取り余力が低下している場合があるため、UPSの定期点検、世代の異なる二重バックアップ、HDDの予防交換を計画的に行うことが再発防止に有効です。障害発生時は再起動や自力リビルドを繰り返さず、電源を落として専門家へご相談ください。

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まとめ

本件は、Synology DS1515+（2TB×5台／RAID5）でアクセス不能となった明石市の製造業に対し、現地で仮想RAID再構築→最重要データ即日抽出、残データはラボで精密クローンを作成して完全回収という二段階で対応した事例です。診断ではRAID構成情報の破損を特定し、ファイルシステム破損の有無は復旧工程での確認方針としました。結果として業務の継続性を確保しつつ、必要な全データを安全に納品することができました。